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修行申し出の前に……/摩亜 [ ┣刀剣乱舞]

帰ってきたお爺ちゃん(一振り目)と、一対一の面談です。
主としては避けて通れないのでね。
あのイベントを肯定的に捉えた審神者様方も多くいらっしゃるでしょうが、社会人歴も長く歴女歴も長いわたくしは、いかなる事情が有ろうとも報連相が出来ない不穏分子をそのまま捨て置けません。
審神者のSAN値はゴリゴリ削られ続けていますよ。



平安爺「……主、三日月宗近だ」
審神者「うん、三日月さん、どうぞ入って下さい」
平安爺「失礼するぞ」
審神者「はい。どうぞ座って」
平安爺「……うむ」(周りをキョロキョロ)
審神者「冷たい麦茶、どうぞ」
平安爺「ああ、すまぬな。……その、……今は主一人か?」
審神者「近侍には席を外してもらっています」
平安爺「……そうか」
審神者「さて、三日月宗近。呼び出された理由は分かっていますね?」
平安爺「先日の詳細な説明と説教であろう」
審神者「そうです。お説教に関しては、戻って直ぐに石切丸と小烏丸から散々怒られたと思うので反省度合いを見てからとして……。まずは、達筆過ぎて読めなかった顛末書の清書は持ってきましたか?」
平安爺「うむ。歌仙兼定に書き直してもらったが、これなら読めるだろうか?」
審神者「歌仙なら主が読める字で書いてくれているでしょう。では読みますので、少しの間、寛いでいてください」
平安爺「……あい、わかった」(正座のまま)







審神者「三日月宗近」
平安爺「……うむ」
審神者「あの三日月宗近から配布された三日月宗近が、顕現している全三日月宗近を制御、対大侵寇のイベント進行が切欠となり全ての三日月宗近が同じ記憶を共有し同じ行動を取った……と読めますが、その解釈で合っていますか?」
平安爺「そうだ」
審神者「審神者、近侍、同門または本丸の仲間に伝える気は無かったのですね?」
平安爺「……すまんな、それも制御されておって……。いや、言い訳はよそう。……俺は自分の力に、……奢っておったのだろうな……」

審神者「その無断出奔についてですが、一般社会で考えると三日月さんのやったことは、始末書では済まないほどの大ごとなので、責任者たる主もろともクビか、良くても左遷ってとこでしょうね」
平安爺「……しま、つ……? させ……?」
審神者「本丸という最重要機密事項を無断で外に持ち出した為、裁判を受けるまでもなく重罪決定です」
平安爺「……そうか」
審神者「三日月宗近の驕りのせいで、本丸の位置や詳細な情報が敵に漏れたら、多くの本丸が個別に敵襲に遭い悉く潰されていたでしょう。あなたのやったことは、守るつもりで本丸に居る多くの仲間や主を危険に晒したのです」
平安爺「……すまぬ」
審神者「それだけの重罪なので、責任者の監督不行き届きで主も連帯責任となり、もしかすると固定近侍である山姥切国広くらいまでは波及するかも知れないですね」
平安爺「……なんと!」
審神者「まあ、本丸の情報を知ったうえで襲撃されたらひとたまりも無いだろうから、責任を追及される前に一振り残らず折られていたかもね」
平安爺「そんなことは……!」
審神者「そんなことさせない? まだ言う? その危険に晒した本刃が何を言っても説得力は無いし、そもそも今の三日月宗近では守り切れません」
平安爺「……そう、そうだな。俺では、守り切れないな……」
審神者「あなたはあなた自身の驕りによって、あなたの一番守りたいものを危険に晒したのです」
平安爺「主よ」
審神者「はい」
平安爺「本当に申し訳無かった」
審神者「謝罪を受け入れます、三日月宗近。……次には必ず主に報告してください」
平安爺「あい分かった」

審神者「まあ今回は、顕現している全ての三日月宗近が、何らかの力によって、バリアーを張ったり一斉に椿寺へ強制召喚されたようだし、何よりもわたしの意志など反映されず追っ手を放つことも出来なかったので、政府からのお咎めなど有ろう筈も無いのですが……(溜息)」
平安爺「主や国広のに、迷惑はかけずに済んだのだな?」
審神者「もう充分迷惑はかけられています(ピシャリ)」
平安爺「う、うむ、……すまんな」

審神者「さて次に……」
平安爺「……」
審神者「三日月さんが主との約束を破ったことに対しての謝罪を要求します」
平安爺「……約束?」
審神者「どんな理由であれ、うちの初期刀を泣かせたり傷付けたりしないという約束をしましたね?」
平安爺「…………した……」
審神者「約束を破ったので、今後初期刀との接触を禁じます」
平安爺「……っ!!」
審神者「初期刀からの接触は止めませんし、修行後に同じ部隊での出陣も予定しています」
平安爺「俺からの接触禁止は、……国広のも承諾しているということなのか?」
審神者「本刃の希望です」
平安爺「……そうか、あい分かった」
審神者「三日月宗近」
平安爺「……」
審神者「あなたは、マイナスまで下がった信用度で再スタートを切るのですから、今まで以上に努力をしなければなりません」
平安爺「……うむ」
審神者「ちなみに、新月(三日月宗近二振目)には特にこのような制約はありません」
平安爺「な、なぜ? 俺と新月で対応が違うのだ?!」
審神者「新月は主と約束してないからですよ」
平安爺「……」
審神者「それに、新月に関しては布の山姥切国広が一発殴ってすっきりと許したからです」
平安爺「俺も、同じように国広のに全力で殴られたが……、許されてはいないのか?」
審神者「それはイベント当事者(極んば)と第三者(布んば)では受け取るダメージが違いますから。布の山姥切国広は、心配した分だけをぶつければ気が晴れたのでしょうが、始まりの刀は違います」
平安爺「どう、違うのだろうか?」
審神者「刀ステ好きの三日月さんにとっては夢の展開だったかもしれませんが、初期刀にとってはかなりの屈辱だったようですよ」
平安爺「……屈辱?」
審神者「あ、気付いていないんですね?」
平安爺「すまぬ……」
審神者「極カンストしているのに、自分の刀では敵に刃が立たないとナマクラ認定されたんですけど……」
平安爺「……っ」
審神者「それに、本人の記憶には無いのに『ずっと月を見上げていた』なんてセリフを強制で言わされて、傷付いていないと思いますか?」
平安爺「あやつの誇りを、深く傷付けてしまったのだな……」
審神者「初期刀として出奔した仲間を迎えに行って、共闘して敵を倒すだけの台本だったら、ここまで頑なにはならなかったと思いますが。まあ、これは三日月さんと言うより、台本を作った運営側のミスでしょうね。本刃もそれは分かっているけど、気持ちが追いつかないようです」
平安爺「……そうか」
審神者「だから、本刃の気持ちが落ち着くまでは、近づかないでくださいね」
平安爺「……あいわかった」
審神者「三日月さんの修行の暁には、キチンと近侍が送り出してくれる予定です」
平安爺「……感謝しよう」
審神者「そうですね、大分譲歩してくれていると思いますよ」

平安爺「……主も、……」
審神者「はい?」
平安爺「怒っておるのだな」
審神者「怒っていると言うより、近侍と同様に理性と感情が剥離していて追いつかないのです。今までこの本丸で積み重ねた信頼が一瞬で崩れ去った衝撃は大きいので簡単には拭いきれません。でも、ある意味、強制でいきなり行動させられた三日月さんも被害者だと理解しているつもりです。……頭ではね」
平安爺「……」
審神者「主と近侍だけでなく、本丸の仲間もおおよそ似たような思いを抱えているでしょう」
平安爺「……石切丸と小烏丸にも同じことを言われた。仲間を信じられず単独行動を起こす俺を、仲間の誰が信頼すると思っているのだと……」
審神者「良かったですね」
平安爺「……?」
審神者「その苦言は、まだ貴方を見捨てていないという証拠ですね」
平安爺「……そうか」
審神者「近侍からの渾身の一発だって、……あれは殴った本刃も手入れが必要だったんですよ」
平安爺「っ! ……そうだったのか?!」
審神者「素手で殴って、痛くない筈が無いでしょう?」
平安爺「……そう、か」
審神者「近侍や石切丸や小烏丸、他の本丸の仲間、もちろん主たる私も含め、あなたはこれから他の者の想いを受け止め、もう一度信用を構築しなければなりません」
平安爺「あい分かった」
審神者「都合の良いことに、三日月さんには修行が待っているのですから、名誉挽回の機会は割と早めに来ると思います」
平安爺「うむ。こつこつと頑張るとしよう」
審神者「そうですね」
平安爺「……頑張るしか、無いのだな」
審神者「……(頑張れ、お爺ちゃん)」

posted by 摩亜 at
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