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近侍補佐/摩亜 [ ┣刀剣乱舞]

平安爺「時に主よ」
審神者「何ですか、お爺ちゃん?」
平安爺「相談なのだがな、新たに『近侍補佐』などという役職を設ける気は無いか?」



審神者「それは、近侍に補佐を付けて、近侍が自由になる時間を増やして欲しいという要望か、またはお爺ちゃんがその役に付いて日がな一日近侍の傍に居たいという私情丸出しの願望か、……どっちだろうか?」
平安爺「どちらかというと、後者だな」
審神者「近侍補佐という役職を作ったとして、スキル的に一番の適任は山姥切長義で、次点が初期刀組の各刃または源清麿、その次くらいに長谷部と博多の二振セット、……お爺ちゃんには適正が見出せませんけど……」
平安爺「し、しかし! 俺の同位体が別本丸で近侍を務めているという話も聞くぞ?」
審神者「よそはよそ、うちはうちです」
平安爺「だ、だが! 俺に出来ることもあるのではないか?」
審神者「タブレットも操作できず、電卓も叩けないうえ、ご飯も作れないお爺ちゃんが、近侍の何を手伝うつもりなのかな?」
平安爺「…………それは……」
審神者「お爺ちゃんが近侍の仕事を舐めていることだけ分かりました」
平安爺「……舐めてなどおらぬ」
審神者「お爺ちゃん、まんばちゃんはね……」
平安爺「……」
審神者「主から初期刀として選ばれたというそれだけの理由で、得手不得手関係無く本丸運営に必要なことの全てを学んでくれました」
平安爺「……」
審神者「脳筋堀川派と揶揄されつつも、兵法書を紐解き、戦略や戦術を勉強しました。だからまんばちゃんは、重症進軍は絶対にしないし、自分のケガも隠しません。薬研に教わって応急処置も出来ます」
平安爺「……」
審神者「タブレットを駆使して、短刀が好みそうなご飯やお八つを作ってあげたり……」
平安爺「……」
審神者「どの刀剣でも主に直訴できるようにと、『主とお話会』や『目安箱』を提言し実現させたのもまんばちゃんです」
平安爺「……」
審神者「さてお爺ちゃん。『福利厚生』という言葉をご存知ですか?」
平安爺「…………知らぬな」
審神者「今のまんばちゃんの仕事を一番補佐できるのは、本歌山姥切です」
平安爺「……また、……」
審神者「補佐などと言うと本歌のプライドを刺激してしまうので役職は付けませんけど、繁忙期には自主的に手伝ってくれていますよ」
平安爺「また、……本歌殿か……」
審神者「お爺ちゃん?」

平安爺「ずるいではないか。あの子に無条件で慕われる立場のくせに、一番傷付くと分かっている言葉を呪詛にように吐き出して叩きつける。それでも本歌という立場故、あの子に嫌われるなどという恐怖に囚われることも無いのだぞ!」
審神者「……」
平安爺「……そのうえ、仕事でも最も近しいのが本歌殿だなど……、ずるいではないか……」
審神者「努力もしないで他刃の立場を妬み、恨み言を零すだけの爺さんとか格好悪い」
平安爺「なんとっ?!」
審神者「今も言ったように、まんばちゃんは努力の末に今の立場を確立しました。本歌だって政府で顕現された後、直ぐに書類仕事が出来るようになったとは思えませんけど?」
平安爺「……」
審神者「お爺ちゃん、まんばちゃんの傍に居る為に、何か努力しましたか?」
平安爺「…………耳に痛いのう、……」
審神者「これから努力して、本歌を追い越すだけのスキルを手に入れるか、『餅は餅屋』と割り切って、お爺ちゃんらしい方法でまんばちゃんに近づく方法を模索するか」
平安爺「……俺らしくなど……、自分が一番分からぬことではないか……」
審神者「主よりまんばちゃんより本歌より長くこの世に在るのだから、知識を総動員してよく考えて。考えることを放棄するなら、まんばちゃんに倣って努力するか、……潔くまんばちゃんを諦めて」
平安爺「……酷いことを言う……」
審神者「もしくは、権利も無いのに悋気を起こしてまんばちゃんに迷惑をかけることを良しとする?」
平安爺「そんなことは、……望んでおらぬ」
審神者「お爺ちゃん、近侍もしくは初期刀・総隊長としてのまんばちゃんに尊敬の念を抱いてる?」
平安爺「それはもちろん」
審神者「年若い刀が頑張っているなあ、可愛いなあ、……じゃなくて?」
平安爺「そう問われると……、難しいの」
審神者「主から見てもまんばちゃんの見た目は弟を通り越して息子みたいだし、それはもう可愛いと思っていますが、それでもまんばちゃんの努力と献身に感謝と敬意を抱いていますよ」
平安爺「……そう、なのだろうな」
審神者「まんばちゃんを見る度に、『ああ、この山姥切国広を初期刀に選んで本当に良かった』『他に数多居る山姥切国広の中でも、うちの子が一番!』と思ってます」
平安爺「……主が山姥切のを信頼していることは、誰もが知っている」
審神者「だから、うちの近侍を軽んじられるとちょっとムッとします」
平安爺「すまなかった」
審神者「『近侍補佐』の話は聞かなかったことにしますね」
平安爺「そうして欲しい」
審神者「お爺ちゃんは、今後のことを頑張って考えてね」
平安爺「……うむ、……ううむ……」
審神者「お爺ちゃんも、主にとってはうちのお爺ちゃんが一番ですからね」
平安爺「2振り目を育てておるのにか……?」←恨みがましい目線。
審神者「あーー……」
平安爺「『新月』などとあだ名を付けられて、楽しそうにしておる」
審神者「言い訳をすると、タイミングが良すぎたってことかな。『三日月宗近』を刀解するには躊躇があったうえに、現在経験値2倍のキャンペーン中だったからね」
平安爺「……上手くはぐらかされておるような気がする」
審神者「同担じゃないから良いじゃん!」
平安爺「いつ推し変するか分からんではないか」
審神者「お爺ちゃん、いつ『推し変』なんて言葉を覚えたの?!」
平安爺「何、乱から少しな」
審神者「情報源は乱ちゃんか! ……っと。お爺ちゃん、そろそろまんばちゃんが遠征から帰ってきますよ」
平安爺「おお、そうか。では主、また」
審神者「はい、よく考えてね」
平安爺「……うむ、ではな」







審神者「……今回は綺麗に隠蔽していたみたいで?」
本んば「特の太刀ごときの偵察値で、見つかるわけがないだろう?」
審神者「見張ってるって相手に分からせる時は、ダダ洩れさせているくせに……」
本んば「当然だろう」
審神者「そんなドヤ顔で言われても……w」
本んば「まあ、それはそうと……」
審神者「……ん?」
本んば「今日は、まあ……優かな」
審神者「だからと言って、『近侍補佐』はしないでしょ?」
本んば「当然。ああでも、本当に困っていたら手を貸してあげるよ」
審神者「それはそれは。重ね重ねどうも」
本んば「持てる者は与えなければね」
審神者「では、持てる主が本ばくんに淹れ立ての珈琲をプレゼントしましょう」
本んば「おや? 豆からかい?」
審神者「最近遠征が増えた布んばちゃんからのお土産ですよ」
本んば「へえ、……それは興味深いな」
審神者「極んばちゃんがくれたお土産のブールドネージュもありますよ」
本んば「……ふふ、いただくとしよう」

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